彼がそう思っていたなんて、全然思っていませんでした。
いろいろな思いが頭の中でグルグル回っています。
しばらくの間、言葉が紡げませんでした。
「……確かに全員が幸せになることは、ないよね。
間違いなく娘が傷つく。
あの子にとって父親は夫だけ。
母である私が他の男性と仲良くしていれば
……そうだよね、そうなるよね。あの子は私を恨むと思う」
涙が出てきました。
「私はあなたがそう考えていたなんて、思いもよらなかった。
私は当分の間はこのような状態かなって気楽に思っていたの」
彼は黙ったままでした。
「私はどうしたらいいんだろうね……」
「前にあなたの家を教えてもらったよね。
近所の人から娘さんの耳に入ったら、どうするつもりだったの?
誰も知らない土地であなたがご近所付き合いをしていないなら
問題はなかったんだけど、あなたはそうじゃないよね。
だから、僕は二度とあなたの家の近所には行かないつもりなんだ。
それと、これからはなるべく娘さんが帰るよりも早く家に帰ろう」
私は涙が止まりませんでした。
「あなたは自分の立ち位置をしっかりとしないといけないよ」
彼の言っている事は間違っていません。
私と娘、二人で寄り添って精一杯頑張って生きていたところに
彼が介入する事で、今まで築き上げてきた家族が
崩壊してしまうのでは……と。
彼はそれを一番恐れているみたいでした。
あの時私は……浮かれすぎていたんだ……と思いました。
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