「僕は周囲から『善い人』に見られるみたいなんだけど、
僕は『善い人』じゃないんだ」
しばらく彼は黙っていましたが
「僕は冷たい人間なんだよ」
……「善い人」ではないことは、最初から気づいていました。
彼「実はね、僕は別居していたんだ」
私は驚いて彼を見ました。
私「いつ頃から?」
彼「亡くなる2年ぐらい前から」
私「なぜ?」
彼「僕の精子は正常だった。
彼女は子供ができない原因は自分にあると思っていて……。
まぁ、いろいろなことがあったんだ。僕よりも年上だったし……。
病気だったのに、彼女はそれも隠していたんだ」
ここでやっと辻褄が合いました。
なるほど、やっと合点がいった……。
私「最初からあなたが善い人じゃないことぐらい気づいていたよ。
でも、悪い人じゃないでしょ?」
彼「警察に追われているとか、借金まみれとかそういうことはないよ、さすがに」
私「完全に善い人なんて、いないよ。あなたが善い人じゃなければ、
私なんてもっと悪い。あなたにドン引きされそうだから言わないけれど
いろいろな事をしたし……」
彼「今はそれはやっていない?」
私「うん。もうやっていないし、二度とやらないよ」
人生も50年ぐらい生きれば
いろいろなことがありますよね。
そういうものだと、私は思っています。
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