155: 「遺された者の悲しみと辛さと苦しみ」を持っている限り、話し合うだろう……

少し前の出来事です。

とあるイベントに二人で行ってきました。

 

たくさん歩いて、たくさん話をして、たくさん笑って
楽しい一日でした。

 

昼食を終えてからもずっと話をしました。

途中から互いの伴侶の闘病生活の話になりました。

 

彼が質問をしてくるので、私も話をします。
彼は自分の奥様の様子を話し、
そして、私の話にもじっと耳を傾けます。

 

彼は「もう詳しい事はあまり覚えていないんだけどね……」と言います。

 

私はまだいろいろと覚えていますが、
少しずつ少しずつ記憶が薄れている事に気付きました。

 

辛かった事、大変だった事、その時の義妹の様子……

話しているうちに、少し辛くなってきました。

涙は……出そうになりましたが、我慢しました。

 

我慢できました。

 

なぜ、ここでこういう話をするんだろう?と思いましたが
私自身、こういう話題を誰にも話した事がない事に気付きました。

 

彼もそうだったのでしょうか?

 

彼は男だから、自分の気持ちを誰にも話さなかったのかもしれない。
誰にでも話せる内容ではない、辛く重い話。

 

同じ死別者である私に共感してもらおうと思っているような感じはありませんでした。
ただ、彼は私に話をした……それだけです。

 

でも、時々とても辛そうな表情をしていました。

 

まだ、辛いよね・・・
彼でさえもまだそう感じるんだ……

 

ふと、思いました。

辛さを吐き出す事で、
心に溜まっている辛さや悲しみを昇華させる為なのかもしれない、と。
決して愛した人の事を忘れるため……ではない、と思っています。

 

いつか……早逝した最愛の人の事を微笑みながら誰かに話せるようになるまで、
自分で自分の気持ちにケリをつける時まで

 

時には苦しみ、涙を流しながら
少しずつ少しずつ変わっていくんだろうな、と思いました。

 

彼の心の中の「本当の辛さ」は彼自身しか理解できないもの。

そして、

 

私の心の中の「本当の辛さ」は私自身しか理解できないもの。

 

でも、話を聞いて、そして気持ちを吐き出して、相手に寄り添う事はできます。

 

きっとこれからも私たちはお互い経験した辛い体験を話すでしょう。
これが私たちのグリーフケアなのかもしれない。

 

澱のように自分の心の中に沈んでいる
「遺された者の悲しみと辛さと苦しみ」を持っている限り……。

<スポンサードリンク>



All original content on these pages is fingerprinted and certified by Digiprove