146: 彼の遺産相続2

「ねぇ……あなたは遺産相続したの??」

「親父の??確かお袋に渡るように遺言状を書いてもらったんだ。
あの時はもう震える手で書いていた」

「そうじゃなくて……奥さんの……」

 

……今まで聞こうと思っていたけど、聞けなかった事。

 

「僕は貰っていないんだ。何も貰っていない」

「え……だって貯金とかあったでしょ?」

「僕は彼女がどのくらい貯金を持っていたのか、
 どの銀行に口座を持っていたのか全然知らなかった。
 多分、生前全部貯金を引き出したんだと思う」

「預貯金も遺産相続の対象になるし、死亡時の貯金額だからね。
 死亡後にお金を引き出してもその分は差し引かれないし」

「僕は『印鑑ならいつでも押しますよ』って言ったんだけど
 それから連絡が全くないんだ。もう10年以上経ってしまった」

「まさか、まだ遺産相続が終わっていないとか……」

「それはないと思うよ」

「だってマンションのローンとかまだ払っているんでしょ?
 マンションの名義は?」

「名義は彼女に変更したんだ」

「……自分の戸籍を調べてみた?」

「??いや、調べていないよ」

 

……子どもがいない夫婦だったので遺産相続人が奥様のご両親と彼だったはず。
ご両親が1/3、彼が2/3のはずです。

 

仮に……奥様が遺言状でご両親に全額と書いてあっても
彼には遺留分として最低限受け取れる遺産があります。

 

それすらない……なんて……。

 

ただ、遺産相続には相続人全員の印鑑証明書が必要となってきます。

彼の話から印鑑証明書を出してはいない感じです。

 

……彼に無断で離婚届けを提出……された?
……彼に無断で相続放棄の届け出をされた……?

 

とても彼には言えませんでした。

<スポンサードリンク>



All original content on these pages is fingerprinted and certified by Digiprove