143: 彼と青い薬

ガマンしている、と彼に伝えました。

彼は「ゴメンね。そんなにガマンしていたんだ」と言いました。

 

確かにもう1か月半ご無沙汰です。

 

「今はそういう気持ちにならないんだよ。なんか自信がなくなってきたっていうのか」

「いろいろな事が重なって今すごく大変だよね。そっちまで意識がいかないのは
分かるよ。でも、それは仕方がないと思っている。私もまだ我慢できるから、大丈夫だよ。
またしたくなったら、すればいいんだから」

 

「そういえばさ、久しぶりにケガをしたんだ」
彼が右手の人差し指を私に見せました。
絆創膏が貼ってあります。

 

「ケガしたんだ。包丁で??」

「違うよ。時計が壊れたからあれこれいじっていたら、指を怪我したんだ。
絆創膏を探してあれこれガサガサしていたら、スゴイものを見つけたんだ」

「何を見つけたの?」

「海外から買った薬。バイアグラだよ。しかも4錠のうち2錠なかったんだ」

「えっ!!いつ買ったの?っていうより、それ飲んだの?ってことは相手がいたって事じゃん」

「海外製のやつでジェネリックだと思うんだ。もう覚えていないし
ここに入っていたことすら忘れていたんだ」

「いつ使ったの?飲まなくちゃいけないぐらいの状況だったの?」

「多分、奥さんと……かな。仲直りしたくて……というより
前みたいに仲良くなりたくて久しぶりに奥さんに『しよう』って言ったのに
僕のが役立たずじゃあ、奥さんはショックを受けるでしょ?
だから、飲んだ……と思うんだ。効き目は……覚えていない」

「10年以上の前の薬だから、今飲んでも大丈夫なのかどうか分からないんだ。
最近不安になってきているから」

「ちょっと怖くない?」

「かなり怖い(笑)」

 

その時彼はまだ40歳になっていなかったはずです。
どんな気持ちで飲んだんだろう。

 

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